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肘の痛みの原因となる上腕三頭筋損傷の検査と治療

By Ben Benjamin, PhD

 

訳:医道の日本社編集部

Reprinted with permission from Vol.16, Issue 10(October, 2016)of Massage Today.

Massage Today Vol.16, Issue 10(October, 2016)より許諾を受けて、Ben Benjamin氏の記事を転載しています。

Massage Today公式サイトもご参照ください www.massagetoday.com


 

前回(http://ciana.jp/7055)は肘の痛みの原因となる上腕二頭筋損傷について取り上げたが、今回は上腕三頭筋を解説する。上腕二頭筋と同じく、上腕三頭筋は2つの関節、肘関節と肩関節をまたぐ。上腕三頭筋損傷のほとんどは肘の近くで起こる。

 

 

解剖学と損傷の原因

 

上腕三頭筋は肘関節の主な伸筋であるため、上腕二頭筋の拮抗筋として機能する。上腕三頭筋は肩と上腕の後面に位置し、腕の筋肉量のおよそ3分の2を占める。健常な人では非常に強い筋力を発揮する。名前が示すように、上腕三頭筋は3つの異なった筋頭を持つが、遠位端で、これらは1つの共通する腱になる。この腱は肘頭に停止し、一部の線維は前腕の筋膜に広がる。肘で損傷が最も起こりやすい場所は腱・骨膜移行部である。ここでは腱が骨と腱本体に合流する。

 

上腕三頭筋損傷は、上腕二頭筋損傷に比べて起こる頻度は少ない。上腕三頭筋損傷は、反復的な叩く動作や投球動作といった急速な伸展力を必要とする運動とエクササイズが原因となる場合がある。上腕三頭筋は、重量の限界に挑戦する腕立て伏せやベンチプレスなどで、肘関節最大屈曲位から伸展動作に移行するような激しい運動で、特に傷つけやすい。

 

 

評価

 

上腕三頭筋損傷の主な検査法は、伸展に対する抵抗である。患者の手関節の下にあなたの片手か両手を置き、患者は身体の前に直角に腕を保持する。それから、力を込めて患者の腕を下げてもらい、あなたは等しい、逆の力で上げるようにする。この検査法による肘の痛みは、上腕三頭筋が損傷していることを示す。

 

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写真1: 肘の伸展に対する抵抗

 

場合によっては、上腕三頭筋は強すぎるため、損傷していてもこの検査で痛みを生じないことがある。検査が陰性であっても、上腕三頭筋損傷を疑う場合、患者に肘を最大限屈曲させる。それにより、筋が伸長されて、筋力が少し弱まる。さらに検査を繰り返すことで、損傷を明らかにする確率は大きく高まる。

 

上腕二頭筋の検査と同様に、患者があなたの力を上回る場合、患者に背臥位になってもらい、あなた自身を守ることが最善である。あなたの両手の手指を組んで、前腕の尺骨側にある患者の手関節を包み、患者の腕に対してもたれる。この姿勢では、患者は、あなたの全体重を上回らなければならない。

 

 

治療

 

上腕三頭筋に対する最も効果的な治療アプローチは、フリクションテクニック、マッサージセラピー、エクササイズの組み合わせである。腱の傷ついた部分は、触診で痛みを伴う。損傷の正確な部位を特定するのが難しい場合、患者に抵抗に対して腕を伸展してもらうと、腱が張って、浮かんでくるようになる。それから、この姿勢で腱を再度触診する。

 

 

フリクションテクニック

 

フリクションテクニックは潤滑油を用いずに行うことで、損傷した線維を骨に固定することができる。それにより、抵抗に対する摩擦運動が生じ、癒着した瘢痕組織を分解する。皮膚の上をこするのではなく、皮膚を動かすように注意する。このテクニックを1回につき10~12分間行い、必要に応じて休みをとる。摩擦する手をたびたび変えるようにして、自分に負担をかけないようにする。摩擦治療の後に、ディープマッサージを上腕、前腕、肩に行う。週に2回、4~6週間繰り返す。

 

 

写真2 上腕三頭筋腱へのフリクションテクニック

写真2 :上腕三頭筋腱へのフリクションテクニック



Profile

Ben E. Benjamin(PhD)

教育とスポーツ医学の博士号を持ち、Muscular Therapy Instituteを創設。45年以上にわたる開業歴があり、オーソペディック・マッサージ、アクティブ・アイソレーティッド・ストレッチング、マッサージ倫理に関するトピックスをアメリカ国内で教えている。著書、共著などに『Listen to Your Pain』『Are You Tense?』『Exercise Without Injury』『The Ethics of Touch』がある。オンラインセミナーで世界中のマッサージ師に対して継続教育を提供している。

http://www.benbenjamin.com/