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姿勢の解剖学とデスクワーカーにすすめるセルフケア(下肢編)
2018.10.26

文・写真:医道の日本社編集部 
監修:早稲田大学スポーツ科学学術院准教授 中村千秋

(月刊「医道の日本」2017年2月号より転載)

前回の上肢編に続き、今回は下肢編。ここではデスクワークによって起こりやすい姿勢の例を取り上げて、その姿勢を続けることでどのような影響が身体にあるのかを、筋に注目して考察する。また、その姿勢を改善するために治療院でも患者に指導できるセルフケアを紹介する。


腰部、下肢への影響

デスクワーカーに多い姿勢(写真1)は、骨盤が後傾して、腰椎が後弯していることも特徴として挙げられる。

この姿勢はデスクワークだけではなく、車の運転やソファでくつろぐ際にも見られる特徴といえる。立位と比べて座位では、腰部の椎間板への負担が増大することが知られているが、骨盤後傾、腰椎後弯の姿勢では、椎間板への負担がさらに大きくなる。
骨盤が前傾して、腰椎が大きく前弯している姿勢もデスクワークではよく見られる(写真2)。骨盤後傾、腰椎後弯の姿勢に比べて、この姿勢では、腰部の椎間関節への負担が増大する。

デスクワークでは、常に股関節は屈曲した状態となり、股関節の屈筋群である腸腰筋は硬く短くなる傾向にあり、骨盤が前傾することでさらに増大する。一方で、殿筋などの股関節の伸筋群は、引き伸ばされて使われない状態が続き、機能が低下する。また、身体の前傾を支えるために脊柱起立筋は、常に緊張した状態になる。この姿勢は下部交差症候群と呼ばれており、腰痛とも密接にかかわっている(図)。

下部交差症候群の特徴

姿勢所見

硬く短くなっている
可能性がある筋

弱く長くなっている
可能性がある筋

腰椎前弯
骨盤前傾

脊柱起立筋、腸腰筋、
股関節内転筋群
腹筋群、大殿筋、中殿筋、小殿筋、ハムストリングス

 

セルフケア

デスクワークによって短くなったり長くなったりして機能が低下した筋の柔軟性や収縮性を高めて、機能を活性化させるためのエクササイズの一例を紹介する。

①腸腰筋のストレッチ

伸ばしたい側の下肢を後方に引き、片膝立ちになる。股関節伸展位で上半身を前脚方向へ回旋さ
せることでより効果的に伸ばすことができる。

②殿筋のエクササイズ

大殿筋は腹臥位で、膝関節を30 度以上曲げて股関節を伸展する。中殿筋は側臥位で、股関節を少
し内旋・伸展させて、外転運動を行う。

参考文献
1)Thompson,Floyd.中村千秋,竹内真希訳.身体運動の機能解剖.医道の日本社,1997.
2)J.J.シプリアーノ. 斉藤明義監訳.整形外科テスト法増補改訂新版. 医道の日本社,2004.
3)新関真人. 図解 姿勢検査法. 医道の日本社,2003.
4)中村千秋編集.渡部賢一,鈴木岳, 北川雄一著. ファンクショナルトレーニング.文光堂,2010.
5) Kelly Starrett, Juliet Starrett, Glen Cordoza. Deskbound Standing Up to a Sitting
World.VICTORY BELT PUBLISHING,2016.(2019年医道の日本社より刊行予定)