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鍼灸マッサージ師のための英会話講座(前編) 英語は壁ではなく、1つのツール
2018.01.30

2017年11月18日、大田区鍼灸師会主催による「鍼灸マッサージ師のための英会話講座」が開催された。講師を務めたのは、『鍼灸マッサージ師のための英会話ハンドブック』(医道の日本社)の著者・大饗里香氏。ここでは、その講座の様子を2回に渡り、レポートする。


増える訪日外国人

今回の講座を主催したのは、大田区鍼灸師会。同会は、鍼灸師の資質向上を目的に、昭和38年に発足し、現在も積極的に鍼灸マッサージ師向けの講習会などを開催している。

 

「大田区には日本の玄関口である羽田空港があります。海外からの観光客が増えている今、外国人の来院に対応できる英語力が必要です」

 

今回の講座を開催した理由について、同会会長である菊地貴彦氏はそう話してくれた。

日本政府観光局(JNTO)によると、2016年の訪日外国人は約2,400万人。前年から21.8%増加し、5年連続で過去最高を更新している。今後、ラグビーワールドカップ(2019年)や東京オリンピック・パラリンピック(2020年)が開催されるため、さらに訪日外国人が増える可能性がある。「鍼灸マッサージ治療を体験したい」と、治療院に外国人が訪れる機会も多くなりそうだ。

大田区鍼灸師会が作成しているリーフレット。鍼灸に関する歴史や資格、治療、適応症などを英訳して紹介している

『鍼灸マッサージ師のための英会話ハンドブック』では、英語のホームページの作り方や、外国人からよく受ける質問への回答をレクチャー

 

英語の習得はスポーツの習得に似ている

講座で大饗氏がまず伝えたのが、「日本語と英語が言語として全く特徴が異なる」ということだ。それだけに、日本人が英語を習得するには時間がかかる。その難しさについて、大饗氏は初めて行うスポーツを例に、次のように話した。

「競技によって、使う頭や筋肉が異なります。それぞれの競技特性を理解して、とにかく継続して練習することが大切です」

残念ながら英語習得に簡単な近道はなさそうだ。とはいえ、鍼灸マッサージ師が働きながら、勉強時間を確保することは難しい。そこで、スポーツの競技特性と同様に押えておきたいのが、英語の特性、特に英会話ならば発音の特性だ。

 

発音のカギは「どっしりと構える」

外国人に話しかけられた際に、英語がうまく話せず、「恥ずかしい」「申し訳ない」と思ってしまう人も多いのではないだろうか。

「緊張したり、恥ずかしくなる心情はよく分かります。けれども、母国語ではない言葉を話しているのだから、間違えることや、通じないことがあるのは当り前。初めて鍼灸マッサージを受けに来る外国人も同じように緊張しています。どっしりと構える姿勢が大切です」と大饗氏は話す。

実は、この「どっしりと構える」は、英語の発音にも大きく関係する。「日本語は口ごもっても割りと通じる言語だが、英語は口や舌を大きく動かし、たくさん息を吐いて発音しないと伝わりにくい言語」であり、英語を話す際は、少し大げさかなと思うくらい口を大きく動かすことが求められる。

「英語は壁ではない。便利なツール」くらいの気持ちで、言葉が通じなければ、身振り手振りのジェスチャーで伝えるなど、まずは真摯に伝える気持ちを出すことが求められる。

 

 

通じやすい音のポイントは“アクセント”

大饗氏の著書『鍼灸マッサージ師のための英会話ハンドブック』には、治療院でそのまま使えるフレーズ集が320収録されている。「受付」から「お帰り」まで治療院での一連の流れを想定しているので、「指差し英会話」としても使えるが、せっかくならこのフレーズを覚えて、会話をしたい。

「せっかく英語のフレーズを覚えて、話しても、ちょっとした発音やアクセントの違いで通じないのは、もったいない」と大饗氏は語る。では、「通じやすい音」を実現するにはどうすればよいのか。大饗氏は、「通じやすい音」を作るための1つのポイントとして、日本語と英語のアクセントの違いを理解することを挙げた。

 

「日本語と英語では、アクセントの種類が異なります。日本語は音の高さで、英語は音の強さがアクセントになっています。アクセントでは口を大きく開き、吐く息を意識的に強くしましょう」

 

例えば、日本語の「あめ」には、「飴」と「雨」の2つの意味がある。音の高低で差をつけて言葉を表している(写真スライド参照)。また、英語の「digest」には、「消化する(動詞)」と「要約(名詞)」の意味がある。「消化する」のdigestは「e」に、「要約」のdigestは「i」にアクセントが置かれ、音の強弱によって言葉を使い分けている。この強弱アクセントを意識することが、通じやすい音を実現するための重要なポイントになりそうだ。

 

 

おすすめの学習法

高校生の時に留学してから13年間をアメリカ過ごした大饗氏。英会話力を維持するために、帰国してからも継続的な学習をしているという。目的によって、求める英語力のレベルはそれぞれだが、ここでは、「治療院に来た外国人に対応するため」のレベルを目指す鍼灸マッサージ師におすすめの英会話学習法を紹介する。

1.オンライン英会話

インターネットの接続環境があれば、比較的安価に、ライフスタイルに合わせてレッスンを受けることができる。

 

2.映画や海外ドラマ

まずは字幕ありで観て、慣れてきたら字幕なしでチャレンジする。その時に、役者の口の形を見て、それを真似して発音してみる。

 

3.日常生活でとにかく英語をつぶやく

「お腹が空いた」「何食べようかな」「疲れたな」――。日常生活で感じたこと、考えたこと、見えるものを英語でつぶやいてみる。

また、大饗氏は発音とヒアリングの関係について、「自分で発音ができない単語は、ヒアリングすることも難しい。英会話には書くこと、聴くことよりも、話すことを意識した学習が大切です」と参加者にアドバイスした。

英語を習得するうえで、何よりも大切なことは、継続すること。無理なく、楽しく続けられる学習法を見つけることが一番の近道といえそうだ。

講座では、実際に治療院に外国人患者が来院したことを想定して、来院の際の対応から、問診、検査、施術、会計、見送りまで、各場面で活用できるフレーズを、大饗氏が発音しながら紹介。参加者がそれに続いて発音する形式で進行した。次回の後編ではその模様をお届けする。

講師・大饗里香

高校生の時に単身アメリカへ留学。大学・大学院を卒業後、就職し、計13年間をアメリカで過ごした。帰国後には、東京医療専門学校に入学し、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師免許を取得。同校の教員養成科も卒業している。さらに、アメリカの鍼灸国家試験に相当するNCCAOM試験にも合格した経歴を持つ。現在は治療院を開業し、治療を続けるかたわら、全国外大連携プログラム通訳ボランティア育成セミナーの医療英語講師や、セラピストのための個人英会話レッスンを行っている。

『鍼灸マッサージ師のための英会話ハンドブック』

著:ワイマン・ゴードン/大饗里香

定価:本体2,500 円+税

■医道の日本社HP

http://www.idononippon.com/book/other/9031-4.html

■Amazon

http://amzn.to/2DveEeE