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Massage Today第24回 胸椎の可動性を高める!テニスボールを使ったトリガーポイントリリース
2017.12.19

 

By Leon Chaitow, ND, DO

訳:医道の日本社編集部

Reprinted with permission from Vol.17, Issue 11(November, 2017)of Massage Today.

Massage Today Vol.17, Issue 11(November, 2017)より許諾を受けて、M.L. Benjamin Leon Chaitow氏の記事を転載しています。Massage Today公式サイトもご参照ください。www.massagetoday.com

約20年前、筋膜性疼痛の治療の第一人者であるJanet TravellとDavid Simonsは、肩甲骨間に生じる筋膜性疼痛への簡単なセルフケアの方法を紹介した。彼らが紹介した方法は、2個のテニススボールを靴下に入れ、それを床に置き(カーペットが敷いてあるのが理想)、そのボールの上に背中をもたれるというものだ。この方法であれば、ボールからの圧迫力をほぼコントロールすることができる。

写真はCIANAピーナッツマッサージボールを使用

肩甲骨間への圧迫が不快な場合は、重心を前腕に移動することで、敏感な部位への刺激を減らすことができる。さらに、TravellとSimonsは、寒冷療法による痛みの緩和を促すために、ボールを使用する前に冷凍庫で冷やす方法もあると助言している。

この数分間の治療(1日行うのは1回まで)で、効果的に筋膜性疼痛を緩和することができる。

なお、筋膜性疼痛の再発を防ぐためには、機能不全の根底にある原因――不良姿勢やオーバーユースなどへのアプローチの必要性も説いている。

またTravellとSimonsは、以下のように述べている。

「患者が“ホットスポット”または、痛みを伴うトリガーポイントを捉えたとき、トリガーポイントが緩むまで、その姿勢を維持しつつ、テニスボールによる圧迫をゆっくりと段階的に強める」

筆者が考える、脊柱周辺の筋緊張に対するテニスボールの使い方は書籍『Maintaining Body balance, Flexibility & Stability』で説明している。

A:2個のテニスボールを靴下に入れる。

B:カーペットを敷いた床にボールを配置する。

C:棘突起がボールの間に来るようにし、脊柱に並んだ緊張した筋肉にボールで圧をかける。1)

 

セルフケアの注意

数分間かけて、脊柱周辺の筋肉を上下させるようにゆっくりとボールを動かす。トリガーポイントの不活性化などに対して、セルフケアを適用する際には、いくつかの重要な注意事項がある。セルフケアをする患者には、以下のことを助言する。

1.痛みの緩和はそれ自体で終わることはほとんどない。つまり、根底にある原因を考え、対象にする必要がある。

2.施術者が提供するガイドラインに従ってもらうことが重要である。特に過剰な治療は避けること。

3.1回にあまりに多くのトリガーポイントを自分で治そうとするのは回復と適応に過剰な負荷をかけてしまう可能性があり、賢明ではない。1日に1つか2つに対して行うことが安全である。

テニスボールを用いた胸椎の可動性

最近、「2個のテニスボール」を使った、胸椎の可動性を高めるためのより一般的なテクニックが、研究によって検証された。

JohnsonとGrindstaff は、2012年に、胸椎の可動性を高めるためのセルフモビライゼーションとして、2段階のテクニックを紹介している。2)

1段階:脊柱周辺の筋肉リリース

2個のテニスボールが入った靴下の上にもたれる。それにより、ボールが最も硬直した脊柱周辺の軟部組織に(痛みを伴わずに)、軽く押し込まれることを感じる。棘突起は2個のボールの間に置く。

両腕を胸部の上で組む。患者がゆっくりと、頭部と肩を床から3秒間持ち上げてから、下ろし、ボールを緊張した組織に数秒間押し込む。1日に1セット。このプロセスを15回繰り返す。

数分間休んでから、このセットをまた繰り返す。適切にボールを置くことで、脊柱周辺のさまざまな硬さを緩めることができる。このエクササイズは、ゆっくりとした深呼吸とともに、痛みを感じない範囲で行う。

2段階:背臥位の腕まわし

2個のテニスボールを緊張した組織の左右どちらかに、胸椎に対し平行となるように置く。治療する側の腕は天井の方向に真っ直ぐ伸ばし、肩は90度屈曲する。

腕をゆっくりと、時計回りに、大きくなっていく円を描かすように動かす。これを約30秒間行う。それから、同じ時間をかけて反時計回りに動かす。数分間休んだ後に、このプロセスを繰り返す。それから反対側でも同じ運動を行う。ゆっくりとした深呼吸をしながら、痛みを感じない範囲で行う。

Jungらによる2015年の報告で、このテクニックの有用性が確認された。Jungらは上記で説明したプロトコルを、胸椎の可動制限に用いて観察した。このテクニックを行わなかった群と比較して、行った群(1週間に3回、6週間にわたり行う)では胸椎の可動性において明らかな差が示されたと報告している。

参考文献

  1. Chaitow L. Maintaining Body Balance, Flexibility & Stability. Cambridge: Elsevier, 2004; pp. 114.
  2. Johnson K, Grindstaff T. “Thoracic region self-mobilization: a clinical suggestion.” International Journal of Sports Physical Therapy, 2012; 7(2):252-256.
  3. Jung J, et al. “The effect of thoracic region self-mobilization on chest expansion and pulmonary function.” Journal of physical therapy science, 2015; 27(9):2779-2781.
  4. Travell J, Simons D. Myofascial Pain and Dysfunction: The Trigger Point Manual Volume 1: Upper Half of Body, 2nd Edition. Philadelphia: Lippincott Williams & Wilkins, 1999; pp. 295.