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Massage Today第24回 腰痛治療のカギは「多裂筋の機能改善と強化」
2017.10.13


By M.L. Tallent, DC

訳:医道の日本社編集部

Reprinted with permission from Vol.17, Issue 10(October, 2017)of Massage Today. Massage Today Vol.17, Issue 10(October, 2017)より許諾を受けて、M.L. Tallent氏の記事を転載しています。Massage Today公式サイトもご参照ください。www.massagetoday.com

Multifidus

背部痛は人口の約80%に影響を及ぼし、医師にかかる主な理由の1つとなっている。背部痛には多くの機序と原因があるが、主に筋肉、椎間板、椎間関節などの組織が関与している。

背部のなかでも重要な役割を果たしているのが多裂筋である。多裂筋は脊柱の全長にわたって走行し、各棘突起の両側に付着している。多裂筋は脊柱を支えて、安定させる多くの線維性の密集した腱を含んでいる。

多裂筋の機能は、脊柱を伸展させ、屈曲させ、反対側に回旋させる。緊張またはトリガーポイントは通常、椎間関節の関節面でバイオメカニクス的ストレスを引き起こす。これは椎間関節症候群につながり、椎間関節の肥大性変化の原因となる。

痛みの疫学では背部痛の原因は、傷害(例えば、交通事故による背部の損傷)やスポーツ、長期間または反復的姿勢による機能不全、脊柱側弯症、脊柱前弯過度、脊柱後弯症など、さまざまである。

研究が示す多裂筋の強さと腰痛の関連

学術誌”the Journal of Radiological Case Reports”で2014年に発表されたMRI症例シリーズは、慢性的な腰痛患者における多裂筋の萎縮を報告した。1)また、この研究は「多裂筋に焦点を当てた腰部エクササイズを行った2人の患者において萎縮が減少し、脂肪に置き換わった」と示している(それぞれの患者において、左側で15%と39%の減少、右側で7%と32%の減少)。「脊柱マニピュレーションのみの患者では萎縮の増加」が見られた(41%と53%の増加)。

2002年の”the European Spine Journal “に掲載された研究は、多裂筋の筋電図記録の活動を測定することによって、腰痛のない参加者と腰痛のある参加者を比較した。腰痛のある参加者では、腰痛のない参加者と比較して、筋肉活動の量が減少していることが示された。2)

多裂筋を安定化して、強くする方法

多裂筋の病態はエクササイズに最もよく反応し、緊張した筋肉をリリースする、あるいは弱った状態を強化する。多裂筋を強化するうえで、まずは多裂筋を回復させなければならない。立ちながら、両手を腰につけて、多裂筋を触診する。息を吸って、わずかに伸展する。多裂筋が作用するように感じるだろう。

多裂筋を触診するには、腹臥位になり、腹部の下に枕を入れ、胃を引っ込めて、片方の股関節をゆっくりと枕に押し込む。5秒間保持する。反対側でも行う。

これを行いながら、多裂筋を触診することで、多裂筋が作用していることを感じるだろう。多裂筋の認識ができたら、患者は上級エクササイズに進んで、多裂筋を安定化させ、強化することができる。

①Cat-Camel Pose キャットキャメルのポーズ

四つんばいになって、怒った猫のようにゆっくり背中をアーチ形にする。それから、リラックスして、腰部を下降させる。各姿勢で5秒間保持する。10回繰り返す。

多裂筋 (2)

多裂筋 (1)

②Quadruped 四足歩行

四つんばいになって、片手と反対側の膝を交互に地面から上げる。本が入る高さまでしか上げないこと。

③Bird Dog バードドッグ

この上級エクササイズは四足歩行に似ている。患者は片腕と反対側の脚を地面に水辺にまっすぐ伸ばす。同じく、それぞれ5秒間行う。

④Standing Forward Bend 立位前屈

患者は多裂筋を触診して、ゆっくり前屈する。多裂筋が活性化するまで、上体はまっすぐに保つ。5秒間保持してから、リラックスした姿勢に戻す。

背部痛はさまざまな傷害で起きる可能性があるが、多裂筋の可動化、安定化、エクササイズで痛みを減らし、腰部の問題を抱える患者の回復を促進できる。

参考文献

Woodham M, et al. Long-term lumbar multifidus muscle atrophy changes documented with magnetic resonance imaging: a case series. J Radiol Case Reports, 2014 May;8(5):27-34.

Danneels L, et al. Differences in electromyographic activity in the multifidus muscle and the iliocostalis lumborum between healthy subjects and patients with sub-acute and chronic low back pain. Eur Spine J, 2002 Feb;11(1):13-19.

プロフィール

M.L. Tallent博士は神経筋機能のリハビリテーションを専門とするカイロプラクターとして25年間診療してきた。