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「破局的思考」という言葉をご存知ですか? 『いちばんやさしい 痛みの治療がわかる本』からわかる慢性痛治療
2017.08.30

 

「破局的思考」という言葉をご存知ですか? 何ともインパクトのある言葉ですが、痛みに対して不安や恐れなどのネガティブな感情を抱き、痛みをより悪化させてしまう思考パターンを「破局的思考」というそうです。

伊藤和憲氏の著書『いちばんやさしい 痛みの治療がわかる本』では、破局的思考について次のように触れています。

〈慢性痛患者、また慢性痛になりやすい患者には「疼痛気質」と呼ばれる特徴的な考え方や行動パターンがあります。疼痛気質の患者は「破局的思考」という思考回路に陥りがちです。「破局的思考」とは、痛みに対する不安のためにインターネットなどで情報を収集する際、自分にとって不利となる脅迫的な情報ばかりを集めてしまったり、「自分だけがどうしてこのような痛みを持っているのか」、「動いたら痛みが悪化するから動かない」など痛みに対するネガティブな感情や不安や恐れを感じるといった自分を壊すような(破局的な)思考パターンを持ちやすいといわれており、それが痛みを悪化させることが知られています〉

この破局的思考については、『英国医師会 腰痛・頚部痛ガイド』の監訳者である松平浩氏も、6月に開催された全日本鍼灸学会学術大会の演題「運動器疾患に伴う慢性痛」のなかで、取り上げていました。松平氏は、恐怖回避思考モデルを用いて、「痛みがある患者さんは脅迫的な情報やネガティブな感情によって、痛みへの不安や恐れが増し、痛みの悪循環が起こる。この痛みの悪循環が原因となり鍼灸治療の機序でもある内因性の鎮痛機構がうまく働かなくなる可能性がある」と解説しました。また痛みへの恐怖による身体の不活動がDLPFC(背外側前頭前野)を萎縮させることが最近の研究では、明らかになっており、生活や行動を制限してしまわないためにも、認知行動療法など痛みと楽観的に向き合えるようになる患者指導が重要であると述べていました。

では、鍼灸治療は痛みに対して何ができるのでしょうか。

『いちばんやさしい 痛みの治療がわかる本』では、破局的思考を含む「痛み」について、総合的に捉え、そこから「痛みをどう治療したらよいか?」も解説しています。

第1章「痛みとは?~痛みの治療に必要な知識~」では、痛みの定義から、急性痛と慢性痛の違い、破局的思考などの慢性痛患者の特徴、慢性痛の分類まで、痛みの治療をするうえで知っておきたい基礎的な情報を提示しています。そのなかでも、特に押さえておきたいポイントが、急性痛と慢性痛の違いです。

 

その違いについて本書では、急性痛は「警告信号としての痛み」、慢性痛は「痛み自身が疾患で警告信号としての意味は少ない」としています。そして、それぞれの痛みに対する治療の違いについても次のように表現しています。

〈急性痛の医療では、痛みを感じている部位にいち早く駆けつけ、原因を追究する「鑑別の医療」がその主流ですが、慢性痛の場合では、痛みを感じている部位に駆けつけても原因が認められないことも少なくないため、「痛みを止める(鎮痛の)医療」が主流です〉

つまり、痛みを診察・治療する際は、まず、急性痛か、慢性痛かを明らかにすることが大切ですね。そのうえで慢性痛を細分化して治療法を決定していきます。慢性痛の治療では、痛みにのみ焦点を当てるのではなく、便秘や不眠などの不定愁訴と痛みの関係を理解した上で治療を進めるケースが多くなります。

本書では、痛みに対する問診・所見・検査を通して、原因と治療方針を導き出す7Stepをレクチャー。今まで臨床経験からしか学ぶことのできなかった「痛みの本当の原因」にアプローチする診察・治療の流れを、最新科学とエビデンスを元にマニュアル化しています。

 

痛み患者と日々対峙している治療家はもちろん、初学者でも診察・治療に役立てられる、痛み治療の必読書です。痛みに対して鍼灸治療ができること、そして鍼灸治療の効果をあげるうえでも知っておきたい知識を得ることができます。

 

9月8日(火)から全3回に渡り、伊藤和憲氏による『痛みの治療がわかるセミナー』を開催します。本セミナーでは初診時の診察から治療プランづくり、実際の治療法までを、実技を交えて講義。痛みの診療をはじめて行う人でも理解しやすい内容になっていますので、初学者の方の参加も歓迎します。ぜひご参加ください。

セミナーの詳細はこちら↓

http://www.idononippon.com/whatsnew/2017/08/post-113.html