CIANA

マッサージ情報関連サイト「シアナ」

MAIL MAGAZINE

記事&ニュース

Massage Today 第19回 ボディワークの基本―触診

Ron McKnight, Dpl.Ac. LMT

2017.04.26

訳:桑原理恵(履正社医療スポーツ専門学校 鍼灸学科専任教員)
Reprinted with permission from Vol.17, Issue 03(March, 2017)of Massage Today. Massage Today Vol.17, Issue 03(March, 2017)より許諾を受けて、Ron McKnight氏の記事を転載しています。Massage Today公式サイトもご参照ください。 www.massagetoday.com


テーバー医学百科事典Taber’s Cyclopedic Medical Dictionaryによると、「触診は、身体の外面へ手または指をあてることで、さまざまな器官の疾患や異常の根拠を検出するための診察のプロセス」とある。実際、この言葉の定義は非常に曖昧で、見えるような、見えないような「直観的な」ものといえる。

20170425

「察知する(palpable)」という言葉は、どのような場面で使われているだろうか。例えば、その部屋の緊張感を察知する(palpable)とか、誰かの存在を察知する(palpable) といった具合で用いられる。形而上学者(Metaphysician)は、触診を「嗅ぐ」、「見る」、「感じる」、「聞く」、「触る」の5感の統合であると言うであろう。西洋(医学)の考え方では、触診から、感覚の要素を排除している。しかし、すべての感覚が、評価に用いられるべきである。東洋医学は「におい」を東洋医学的な診断の特異的な要素として活用しており、クライアントのにおいを自分の嗅覚で判断している。この回路は、「嗅覚と器官の不調をどのように結びつけるか」にある。これらのプロセスは単に触れるだけでは得られないバイオフィードバックの回路をもたらす。

 

特異的な診断

生化学者であり、ロルフィングR(構造的身体統合法)の創始者であるIda Rolfは、感覚を統合することについて「見ることは、隔たりに手を届かすことである」と言っている。つまり、問題の根源を見ることにより、評価におけるクライアントと私たちの時間と労力を節約できることになる。視覚は、私たちが見たものと見て感じたものを関連づけるものである。よって、触察の特異的な一面と言える。

ルーベンフェルド・シナジータッチ(Rubenfeld Synergy Touch)は、触れることで身体の語り(story)を聞こうとするものである。この施術法は、どこを、どのように、そしていつ触れるかを学ぶことを含んでおり、それには、それぞれの症例が治癒過程にあるのか、全快か、を察知するための習練や直感、センスが必要である。

東洋医学の理論では、人の声を「聞く」ことは、特異的な診断に欠かせないものであるとしている。クライアントが話す内容よりも、どのように発せられたかである。東洋医学の理論では、呼吸の質を聞くことで疾病を鑑別するとしており、それは器官の不調を示唆するものである。

結局のところ、特異的な診断には、異常を感じとるために触診を用いる。この方法は、次のことを考慮している。その異常をどのように感じられるか、そのクライアントは何を感じているか、そして、施術者の感覚、である。Ashley Montaguは、触れることの重要性を研究している。触れることは、定まった間隔に置かれている道路標識をなぞるような単純なものではなく、身体に修復を促すものでありながら、一方で身体に悪影響を及ぼすものでもあり、相容れない側面を持ち合わせているものだとしている。

 

筋筋膜性疼痛と機能障害

Dr. Janet Travellは、筋筋膜痛と機能障害について研究しており、その現象を調査し、筋筋膜が活性化したときに痛みが出現し、活性化するまでは沈静化している2つのポイントがあると結論づけている。彼女は、臨床医がそれらを評価できるかをテストし、また、特定の部位においての偽陽性の判定を極力減らす方法を見出した。

1つのグループは、ポイントの場所を評価するよう訓練され、偽陽性と評価することが減少した。その後、指標が示され、偽陽性の評価はさらに減少した。このことは、筋筋膜の不調は部位の活性化によって事前に評価されうることを示している。つまり、筋筋膜の部位を特定することで、触れたときにクライアントがどのように感じるかを教え、示すことができ、一般的な指標を設けることができるであろう。それゆえ、触察の信頼性は、ボディワークを行う者の手に懸かっているといえる。

 

ツールとしての触察

ヘルスケアの施術者における信頼は、タッチングをはじめとした基本的なケアに基づくものであるということが一般にもっと理解されるべきである。私たち施術者は、腫瘍とトリガーポイントの異変を区別できなければならない。触察はその巧妙さゆえに代わるものはなく、他のどのような方法でも感知できるものではない。オーラというものがエビデンスとして提供されるなら、エネルギーの交換として捉えることもできるだろう。

物理療法を用いる施術者にとって、偽陽性や曖昧さを解消して、信頼性をもって異常を明らかにする能力は、把握したことを標準的に表現することと、身体上の異常を区別できる能力で、さらに強化されるべきものである。

信頼性とは、施術者が異常を偽陽性としてしまうことが、全く、またはほとんどなく評価できる、ということである。それは、タッチングを生業とするマッサージの施術者にとって、身体について広く知るべきであること、よりよい標準化されたケアと、ボディワークの施術者によってつくられた評価に一貫性があることの重要性を意味している。施術者である私たちすべてにとって、それは、繰り返されるストレス障害が疾病状態になる前に、予防として、トリガーポイントを評価するための基準に裏打ちされたマッサージケアを用いる一つの方法である。

Dr. Janet Travelと他の者たちは、トリガーポイント、または筋筋膜性疼痛評価の訓練を受けた者たちの信頼性は高いとみなしている。もしトリガーポイントの大きさ、部位、手触り、共通言語、その影響による歩き方や姿勢の変化を明らかにすることができれば、私たちの評価に対する信頼性は急激に増すであろう。

プロフィール

Ron McKnightは、マッサージや障害を予防の方法を確立し、国内では広く知られているセラピストである。コネチカット州Bethelの地にCTMAを設立している。スポーツマッサージセラピストとしてのライセンスを持ち、世界中のアスリートを施術し、オリンピック3大会(バルセロナ、アトランタ、アテネ)と、シアトルでのグッドウィルゲームにてメディカルスタッフまたはセラピストとして参加している。詳しい情報はhttp://preventionmedicine.com