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編集部セレクト「骨」のブックガイド

医道の日本社編集部

2016.12.02

編集部セレクト「骨」のブックガイド

骨身に沁みる3冊


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月刊「医道の日本」12月号の巻頭インタビューでは、「骨博士」と呼ばれる鄭雄一氏(東京大学大学院工学系研究科・医学系研究科教授)に治療家におすすめの本と読書術を聞いた。ここでは編集部が、「骨」をテーマに幅広く選んだ3冊の本を紹介したい。

 

1冊目に紹介するのは、鄭雄一氏の『骨博士が教える「老いない体」のつくり方』(WAC)だ。月刊「医道の日本」12月号の巻頭インタビュー内でも紹介した本書は、一般の読者が、骨や軟骨の仕組み、働きを理解して、健康や老いとどのように向き合うべきかを解説している。インタビュー内でも鄭氏が、本書を「万能薬としてこの本を読んだ人は、がっかりする内容」と述べている通り、骨や軟骨に関する一般的な知識を理路整然と説く。

 

巷では毎年、新しい健康法やダイエット法に関する本が出版され、話題のメソッドとして、メディアにも取り上げられている。しかし、このような万能薬的な本は、1年もすれば「そんなのもあったな」くらいに忘れられてしまうことがほとんどではないだろうか。

 

鄭氏は骨の専門家として、「骨や軟骨が脳や内臓、筋肉に比べると軽んじられていることに憤っている」ことをインタビューで紹介した。本書には「正しい情報を提供して、正しい理解をしてほしい」という著者の強い思いが反映されているように思う。もちろん、文体が怒りに満ちている訳ではないけれど。

 

本書は、超高齢社会において、健康や老いをどのように捉えるかを提起し、骨や軟骨を解剖学・生理学に基づいてひも解き、食事や運動の知識も網羅している。治療家にも参考になるのではないだろうか。

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骨博士が教える「老いない体」のつくり方』(WAC) 

2冊目に紹介するのは、片山一道氏の『骨が語る日本人の歴史』(ちくま新書)。著者は、人類学の研究者であり、遺跡で発掘された古人骨から、その遺跡を残した過去の人々の人物像や生活像を推測する「骨考古学」の第一人者だ。

 

この骨考古学は、人類学と解剖学から考古学にアプローチすることで、性別や顔かたち、身長や体格などの身体的特徴はもちろん、各種疾患や発育、埋葬風習、生存年代といった情報を解読する。本書の前半では、日本人はどこから来たのか、そして縄文人、弥生人から近現代人のそれぞれの身体特徴とその時代背景を古人骨を通して、解説している。ちなみに現代日本人は「『ガリヴァー旅行記』のリリパッド(小人国)におけるガリヴァーのような存在」で、歴代の日本人のなかでも並外れて高身長なのだとか。また後半では、日本人がどのように日々の暮らしを営んできたか、そこに生きていた一人ひとりの身体から歴史を読み解く「身体史観」に着目する。

 

「職業病」という言葉が示すとおり、症状や疾患は、その患者の生活の営みと関係していることが多い。患者の職業を聞いたり、過去の病歴を確認したり、食生活について触れることは、治療家が一人ひとりの患者の身体を読み解く作業だ。もちろん生身の身体と古代骨を読み解くことは違うが、治療家の知的好奇心をくすぐる1冊になりそうだ。

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骨が語る日本人の歴史』(ちくま新書)

3冊目はアンドリュー・ビエル氏の『ボディ・ナビゲーション』(医道の日本社)だ。

本書の原題は『Trail Guide to the Body』(『身体への道しるべ』)。アメリカの多くのマッサージ師養成学校で触診解剖学のテキストとして採用されている。触診において、まず大切なことは道しるべとなる指標を探し出すこと。本書では、「骨指標」という言葉を使っているが、骨は形や剛性が一定で変わらないために、触診の際に道しるべとなる。

 

身体の大きさや形状は人によって異なる。しかし、身体の構造や構成は共通する点が多くある。骨の隆起部やくぼみ、稜は筋肉や腱を探すための出発点になる。直接、骨を治療することはなくても、骨を正確に触診することができれば、他の器官を触診することにつながり、正しい治療にも結びつくはずだ。触診が苦手という人は、本書を使って、まずは自分の身体から触ってみることをおすすめしたい。

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ボディ・ナビゲーション』(医道の日本社)