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Massage Today 第13回 肘の痛みの原因となる上腕二頭筋損傷の検査と治療

Ben Benjamin, PhD

2016.10.31

肘の痛みの原因となる上腕二頭筋損傷の検査と治療

By Ben Benjamin, PhD

訳:編集部

Reprinted with permission from Vol.16, Issue 08(August, 2016)of Massage Today.Massage Today Vol.16, Issue 08(August, 2016)より許諾を受けて、Ben Benjamin氏の記事を転載しています。Massage Today公式サイトもご参照ください。 www.massagetoday.com 


Male physiotherapist massaging a young man's arm in the medical office

上腕二頭筋の機能

 

多くの筋は1つの関節をまたぐ単関節筋であるが、上腕二頭筋は2つの関節、つまり肘と肩をまたぐ、二関節筋である。上腕二頭筋下部の損傷では、肘に大きな痛みを引き起こす。

 

ご存知のように、上腕二頭筋は肘を屈曲させる機能を持つ(例:マッサージベッドを持ち上げる動作)。しかし、さらに重要な上腕二頭筋の機能は、前腕を回外させることである(例:ネジ回しを用いる動作)。肘を約90度に屈曲したとき、上腕二頭筋は最大の筋力を発揮するが、肘をほぼ伸展したときには、筋力が発揮できず、上腕二頭筋を痛める可能性が高くなる。例えば、大きい家具を持ち上げようとしたとき、自分が想定していたよりもその家具が重く、肘が伸展してしまい、上腕二頭筋を痛めてしまう。

 

上腕二頭筋は2つの停止部を持つ。1つは橈骨粗面での腱付着部である。橈骨粗面は、肘下方に位置する橈骨にある丸い隆起である。もう1つは、前腕の尺骨側で深筋膜に融合する上腕二頭筋腱膜(結合組織の線維シート)である。これらの場所のいずれかが損傷すると、肘の痛みを生じる。

 

 

上腕二頭筋の評価

 

上腕二頭筋の損傷を確認するには2つの検査法がある。両方とも正しい評価を行うのに重要である。

 

1つ目は、肘の屈曲に対する抵抗である。立位の患者に、前腕を回外させて手掌を天井に向けて、患側の肘を直角位に屈曲した姿勢を保持してもらう。あなたの両手か片手を患者の手関節に置き、肘を屈曲してもらう。その屈曲の力に抵抗して、等しく、下方への圧迫をかける。

図 1:肘屈曲に対する徒手抵抗

図 1:肘屈曲に対する徒手抵抗

 

このとき、1つ注意しなければならないことがある。一部の患者は、肘の屈曲が非常に力強い。患者の力があなたよりずっと強い場合、治療家であるあなたが損傷するリスクがある。あなたが腕を動かないように保持できなければ、検査は不正確となる。患者を背臥位にすることで、これらのリスクの両方とも最小限にできる。この姿勢なら、あなたは最大限の体重を用いることができる。あなたは両手の手指を組んで、手関節より上にある前腕の橈骨側を包み、もたれる。こうなれば、患者は、あなたの全体重を引き上げなければならない。

 

屈曲に対する抵抗で痛みがあれば、上腕二頭筋または上腕筋が損傷していることになる。2つの筋を見分けるには、さらに追加のテスト、前腕の回外に対する抵抗を行う必要がある。

もう1度、患者に立位になってもらい、肘を直角に屈曲してもらう。あなたの両手で手関節上方の前腕を握り、同じ場所で動かないように保持する。あなたの手指を組み合わせることは有用である。それから、患者に前腕を回外してもらい、手掌が天井に向き合うようにする。等しく、その回外の力に抵抗して、手関節が回らないようにする。両方のテストを行って、痛みが肘前部で感じられる場合、上腕二頭筋下部が損傷していることを示す。

図 2:前腕回外に対する徒手抵抗

図 2:前腕回外に対する徒手抵抗

 

 

治療

 

上腕二頭筋の最も効果的な治療アプローチは、フリクションテクニック(線維走行を横断する摩擦刺激を加えるテクニック)、マッサージ、エクササイズなどを組み合わせたセラピーである。

 

腱の傷ついた部分は触診で痛みを伴う。損傷部位を正確に特定するのが困難な場合、患者に肘を屈曲してもらい、それに抵抗すると、腱が張って浮かんでくる。この姿勢でもう1度触診する。

図 3:上腕二頭筋腱へのフリクションテクニック

図 3:上腕二頭筋腱へのフリクションテクニック

 

フリクションテクニックは潤滑油を用いずに行うことで、損傷した線維を骨に固定することができる。それにより、抵抗に対する摩擦運動が生じ、癒着した瘢痕組織を分解する。皮膚の上をこするのではなく、あなたの手と皮膚が動くようにする。このテクニックを1回につき10~12分間行い、必要に応じて休みをとる。摩擦する手をたびたび変えるようにして、自分に負担をかけないようにする。摩擦に続いて、上腕、前腕、肩の深部マッサージを行う。4~6週間、週2回繰り返す。

 

 

プロフィール

Ben E. Benjamin(PhD)

教育とスポーツ医学の博士号を持ち、Muscular Therapy Instituteを創設。45年以上にわたる開業歴があり、オーソペディック・マッサージ、アクティブ・アイソレーティッド・ストレッチング、マッサージ倫理に関するトピックスをアメリカ国内で教えている。著書、共著などに『Listen to Your Pain』『Are You Tense?』『Exercise Without Injury』『The Ethics of Touch』がある。オンラインセミナーで世界中のマッサージ師に対して継続教育を提供している。

http://www.benbenjamin.com/