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Massage Today 第8回 便秘に対する腹部アロママッサージ、精油は何を選ぶ?

Shellie Enteen, RA, BA, LMBT

2016.05.12

便秘に対する腹部アロママッサージ、精油は何を選ぶ?

Shellie Enteen, RA, BA, LMBT PhD

訳:編集部

Reprinted with permission from Vol.15, Issue 01(January, 2015)of Massage Today.Massage TodayVol.15, Issue 01(January, 2015)より許諾を受けて、Shellie Enteen氏の記事を転載しています。 Massage Today公式サイトもご参照ください。 www.massagetoday.com 


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 マッサージ学校で、私たちは適切なドレーピングと腹部の筋群を施術するためのテクニックを学ぶ。その中には、大腸を含めた身体の排泄プロセスにかかわる蠕動パターンの知識と、それを活用するテクニックも含まれる。

 

 腹部の筋群の治療により、他の部位の痛みなどを緩和する場合、特別なテクニックを使うこともある。しかし通常、腹部はマッサージ・セッションで見落されやすい部位である。一般的な腹部マッサージ・テクニックの知識と技術で、患者の健康と生活の質(QOL)をかなり促進できる場合もあるのだ。

 

 たとえば患者が排泄困難(便秘)を訴える場合、腹部に有用な効果を示す特定の精油をマッサージ用オイルに加える。ストレスの多い現代社会では、多くの人が排泄の問題を抱えている。代謝の不調、運動不足、食事はすべて便秘に関与しており、これらは年をとるにつれてよく見られるものである。これらは微細な感情レベルに起因しているため、便秘がまたやってくるという恐怖を抱いている患者もいる。無意識に身体を解放するのに抵抗してしまうのだ。つまり、健常で規則的な排泄をしないと、身体と心に関する多くの問題を引き起こす。精油は身体的・感情的なレベルでこの問題を取り除くことができる。

 

症例(70代の女性の便秘)

 全身のこわばりと血行の問題のため、週1回の自宅でのマッサージを必要としている70代後半の女性患者の例である。ある日、彼女は慢性的な便秘で医師に診てもらっていたが、役に立たなかったことを明かした。彼女はどうすべきかわからなかったため、動揺していた。いくら試しても、4週間以上便通がなかったようだ。私は次に会うときに、この問題のために特殊な精油で腹部マッサージを行うと伝えた。彼女は、標準的なアロマセラピー・マッサージのリラックス効果と不安の緩和効果をすでに体験していたので、やってみることに同意した。

 

 次の週、私は便秘を軽減するための特別なブレンドの小瓶を持っていった。ブレンドにはSylla Sheppard Hanger著の『Clinical Index of The Aromatherapy Practitioner Manual, Vol II』が示している便通促進の作用から、下記の精油を選んだ。

 

・フェンネル(Foeniculum vulagre)

・ジンジャー(Zingiber officinale)

・マジョラム(Origanum majorana)

・ローズマリー・ベルベノン(Rosmarinus officinalis var. verbenone)

 これらに1滴のスイートオレンジ(Citrus sinensis var. dulcis)を加えることで、消化器を健康に導くような、好ましいアロマをつくり出すことができた。

 

 実際の施術では、キャリアオイル7グラムに対して、フェンネル、ジンジャー、ローズマリー・ベルベノンをそれぞれ1滴、マジョラムとスイートオレンジを2滴加えた。腹部と大腸の蠕動パターンを対象にした従来のマッサージ・テクニックを行いながら(編集注:大腸の走行にそって円を描くようにゆっくりマッサージされることが多い)、このブレンドを加えた。それから数日間、患者が必要と感じれば、腹部に対して同様に円を描くマッサージを繰り返した。

 

 私が彼女の自宅から帰ったあと、彼女は奇跡を報告した。便秘から解放されたのは私が家を出て間もなくであった。そして毎日排泄が続くようになった。この良い変化により、患者は身体的にも感情的にも解放されているようであった。それからウォーター・エクササイズのプログラムを始めることになった。私は医師にこのことを伝えたのか彼女に尋ねた。彼女が教えてくれたのは、私がいつも遭遇する、医師が精油の驚くべき成果を聞いて示す反応と同じであった。つまり、その医師は感銘を受け、アロマセラピーの研究を勧めてくれたのだが、私は研究にまったく関心を持てなかった。

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 地中海原産の一年草であるマジョラム。消化器系に効果的だが、妊婦への使用は避けるべきとされている。

 

どの精油を選ぶか

 そのときの患者の状態と生理的・精神的構造に対して一番作用する精油を選ぶことが重要である。私が選んだ精油は、身体、精神、心に影響を及ぼすもので、このような特定の患者でも有効である。しかし、私が強く提案するのは、用いるブレンドをやみくもに使いまわさないで、必要に応じて、その患者用に精油のブレンドを考慮することである。

 

 私が用いたブレンドには大きな結果があったかもしれないが、Salvatore Battaglia著『The Complete Guide to Aromatherapy』(日本語版は『アロマセラピー完全ガイド』)の第31章では他の精油が示されている。この第31章は消化器系に焦点をあてていて、キャロットシード(Daucus carota)、シナモン(Cinnamomum zeylanicum)、ペパーミント(Mentha x piperita)、パイン(Pinus silvestris)といった私のブレンドにはない精油を示している。便秘の問題の概要と患者に教えられる他の提案も記載されている。消化に関する章では、消化器系の他の症状に対するアロマセラピー・テクニックも提案されている。

 

 なお精油はすべてにおいて、適切な希釈を行い、安全ガイドラインに従うこと。妊娠中や10歳未満の子供がいる場合、便秘に対して特定の精油を用いることは適切でない可能性がある。

プロフィール

Shellie Enteen(RA、BA、LMBT)

アロマセラピストとして20年間のキャリアがあり、彼女の会社Carolina Continuing Massage Educationでは、マッサージ継続教育コースと150時間のプロフェッショナル・アロマテラピーのコースを教えている。現在、Greenville Technical Collegeでこのコースをオンラインセミナーへと拡大計画中である。また、National Association for Holistic Aromatherapy(NAHA)理事なども務めている。http://www.astralessence.com/www/