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医道日用綱目の養生法 千葉県鍼灸マッサージ師会学術講習会・元吉正幸氏講演録   第1回 増永静人氏の理論

元吉正幸 

2016.02.27

第1回 医道日用綱目の壽保按摩法 千葉県鍼灸マッサージ師会学術部長・元吉正幸 

2016年2月21日、公益社団法人千葉県鍼灸マッサージ師会にて学術講演会が開催され、同会学術部長・元吉正幸氏が「鍼灸マッサージの科学的に考えた治療技術」と題した講演を行った。今回はその中から、『医道日用綱目』の壽保按摩法を中心に講演録の形で紹介する。 千葉県鍼灸マッサージ師会学術部長・元吉正幸    皆さん、おはようございます。学術部長の元吉です。第2回目の学術研修会です。最近はいろいろと研修も多くなっていますが、公益社団法人として、現代科学にもとづいた健康に役立つような話をしたいと思っています。  皆さんは、臨床でボディワークを使っているかと思います。ボディワークは各種あります。たとえば操体法とか、また鍼灸と組み合わせてPNF、AKA、モビライゼーションとか、そういうのを使っているかもしれない。その時々の患者さんによって使い分けているかと思います。こういったボディワークはいつから行われていたかというと、昔からやっていたわけですよ。鍼灸は、安土桃山時代から盛んになり、江戸の元禄年間ぐらいに花開きました。そのもとをたどれば、『素問』、『霊枢』などから始まる医書があります。その当時は漢方薬や鍼灸に加え、導引が一緒だったわけですね。これらが時代を経て、いろいろと別れてきました。      本郷正豊は『鍼灸重宝記』という有名な本を書いていますが、この方は『医道日用綱目』も書いています。その中では導引が紹介されています。この導引自体は、いろいろな経絡の引きつれとか、そういうものを伸ばしながら、保健に役立てようという意図があります。  向野義人先生(福岡大学スポーツ科学部)の「経絡テスト」、あるいは朝日山一男先生(帝京大学医療技術学部)はそれをストレッチングしようということで、経絡ストレッチングを打ち出していますが、導引の発展形とも考えられます。  今日、紹介するのは、『医道日用綱目』の中の壽保(じゅほ)按摩法です。この中には、経気を巡らすということをやらなくなったから、人が治らないんじゃないかというような話が既に書かれています。スライドをもとに見ていきましょう。『医道日用綱目』は江戸版本も現存数が多く、現在でも江戸時代の版本などの専門古書店で、案外安く手に入ります。それだけ読まれていたということです。原本は変体仮名で今では読みにくいですが、荒木ひろし先生が現代文にしてあるものがあり、それを参考にしています。 講演2月21日千葉県鍼灸マッサージ師会 - シアナ用6 肝の蔵の積聚 風邪 毒気をさる  肝の臓の積聚で、脇が痛んでいるときには、平らに座してとありますが、これは胡坐で足を組むと左右のバランスが悪いので、図のように足は組まずに座ります。そして、両手を組み、それを引っ張ったり戻したりして、というようなことを3~5度してごらんということです。この動きで、どこが引きつっているかと言うと、やっぱり肝経に効いていると感じることもできるのではと思います。背骨もよく動いて気持ちいいですね。 講演2月21日千葉県鍼灸マッサージ師会 - シアナ用2 膽(きも)の腑の風毒邪気をさる   膽(きも)というのは胆でしょうね。これは両手で足首を持って、引いて動かします。これは結構いいなと思って、私も2週間前から毎日やってみようと心掛けていますが、この体勢を取ること自体、いろいろ突っ張っちゃって大変です。自身でも無理せず、教えるときにも、身体のチェックをしながら、リラックスして楽しんで行いましょう。 講演2月21日千葉県鍼灸マッサージ師会 - シアナ用3 心の蔵のわずらひ(い)をさる   心臓のわずらいには、空手のように拳突きをしていくものも紹介されています。私自身もいろいろな役職をしていまして、健康運動指導士会の千葉県支部長などもしております。健康運動指導にもこのような方法はとても良いと思いますが、高齢者などを対象とする場合は血圧に気をつける必要がありますね。また骨粗鬆症の危険性もあります。いきなりこれをやると言っても、大変ですよね。ですから、専門的資格、国家資格のある人は、メディカル的なチェックもしながら指導していかなくてはなりません。動作は早くなくてもいいと思います。トレーニングではなく、リラックスを目的に心地良い空間を意識するほうが良いと思います。 講演2月21日千葉県鍼灸マッサージ師会 - シアナ用4 心胸(むね)の間の風邪をさり諸の病を除く  胸の間の風毒を去るということですね。3回、歯をカチカチと咬み合わせて、つばを出せと書いてあります。ヨーガでもそうでしょうが、つばが出ると、副交感神経も優位になっている証拠です。気功なんかでも、歯を上に上げて口蓋につけます。そうすると、気がそのままつながるということもあるかと思いますが、その下に唾液がたまっていくんですよね。それをくいっと飲む。これもエクササイズをしているということです。唾液には健康に良いホルモンが含まれているということもあるでしょうしね。 講演2月21日千葉県鍼灸マッサージ師会 - シアナ用5      この3度歯をカチカチするのは、他にも出てきます。また動作を「腎・膀胱・腰の間の積聚・風邪を去る」と説明しているところでは、20~30回やれと書いています。実際に試しましたが、なかなかなまった身体にはこたえてきます。皆さんも試してみたらいいかと思います。  今日は視力の不自由な方もいらっしゃるので、実技の時間で、壽保按摩法のうちの2つぐらいをしようと思っています。今、話をしていても分からないですからね。でも、なぜこの資料を皆さんにお渡ししたかと言いますと、何かといろいろなことに使えると思うからです。たとえば介護予防教室とか、そういうとき、我々は国家資格取得者として利用者の身体のことを個別に、また安全に観察しながら、予防法を紹介できますよね。  私自身、健康運動指導士会の研修会などでは、西洋医学的なことばかりをやるのではなくて、「太極拳とかそういうのはいいよね」と提案したりしています。実際、東京大学教育学部の体育の授業では太極拳をやっていて、研修会に講師としていらしてもらったこともありますが、それを東洋的フィットネスと呼んでいるようです。だから、東洋的フィットネスを介護予防に応用していくと良いかと思います。スポーツ選手のコンディショニングやリラクゼーションにもいいですね。太極拳もいいけど、こういうのも昔からありましたよ、みたいな感じで壽保按摩法を紹介すると良いのではと思うわけです。こういった資料をもとにして続けていく中で、オリジナリティーが出てくるのもまた面白いですね。 養生法として「肝の蔵の積聚 風邪 毒気をさる」の方法を指導する元吉氏 (第2回につづく) 本稿は元吉氏の許可を得て、講演内容に加筆・修正して掲載しています。

プロフィール

元吉正幸(もとよし・まさゆき) 1961年、千葉県生まれ。1982年、東京柔道整復学院卒業。1987年、東京衛生学園専門学校卒業。1989年、東京医療専門学校鍼灸教員養成科卒業、八王子で開業。1996年、千葉県勝浦市で元吉接骨院・南風堂鍼灸治療室開業。2001年、放送大学教養学部卒業。2004年、東京福祉教育専門学校卒業。2000年から2012年まで東京医療専門学校鍼灸マッサージ教員養成科非常勤講師。