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Massage today 第4回 リンパ・セルフケアを実践・推奨しよう

Eileen Laird, LMBT, LTC

2016.02.25

リンパ・セルフケアを実践・推奨しよう ~自分の身体を自分でケアする能力を高める~

Eileen Laird, LMBT, LTC

訳:編集部

Reprinted with permission from Vol.12, Issue 08(August, 2012)of Massage Today. Massage Today Vol.12, Issue 08(August, 2012)より許諾を受けて、Eileen Laird氏の記事を転載しています。 Massage Today公式サイトもご参照ください。www.massagetoday.com


我々はマッサージ師として、他人をケアすることに毎日を費やし、多くの場合、家に帰ると疲れすぎて自分自身のケアはできません。夜に寝ながら15分でできて、リラックスとヒーリング効果をもたらす単純なセルフケアのプロトコル(手順)があるとしたらどうでしょう。リンパドレナージはまさにうってつけの方法です。

 

大多数のリンパ節は身体の前面に位置しており、手の届きやすいところにあります。ここで紹介する方法は、優しい施術ですので、過労状態の手を痛めることはなく、15分で主なリンパ節をケアできます。これは長く働いた1日の終わりにちょうどいい長さで、リラックス、デトックス、ヒーリング効果をもたらします。私はこのセルフケアのシークエンス(順序)を自身に用いており、患者と同僚にも教えています。

 

リンパドレナージの効果

リンパを手で刺激することには、下記の効果があります。

●リンパ系の循環を通常の最大10倍まで流動的にする。

●リンパ節が流れるに伴い、老廃物、死んだ細胞、過剰なタンパク質、毒素を組織から除去する。

●リンパ球の産生を増加させることで、感染症と戦う身体の能力を高める。

●交感神経の反応を活性化させて、身体へのリラックス効果を生み出す。

 

これらの多様な変化は、どのような影響を身体に及ぼすのでしょうか。リンパドレナージの最も有名な適応は、むくみとリンパ浮腫の治療です。しかし、この治療の応用は、健康全般を支えるのにも非常に効果的です。Chikly Health Institute(ホリスティック医療を教育する施設)は、疼痛緩和から消化機能の調整、皮膚の改善までリンパドレナージの100以上の適応症をリストアップしています。

 

ブルーノ・チクリー(Dr.Bruno Chikly)は「我々のカリキュラムは進化してきました。リンパ浮腫と非リンパ浮腫のリンパドレナージ資格を作成しました。そして1万人以上の生徒が受講しました」と言います。Chikly Health Instituteのトレーニングは臓器、関節、トリガーポイント、筋膜制限への適応を含んでいます。

 

オレゴン州ユージーンに住むマッサージ師イサベラ・メンダーは季節ごとにリンパの活性化を自分自身に行っています。「花粉症のシーズン中、私はたいてい1日2回自分を治療します。この治療は副鼻腔のうっ血、鼻水、目のかゆみ、頭部の全体的な炎症を緩和するのに役立ちます」。

 

リンパドレナージ治療のインストラクターであるデイビッド・ダブルステインはリンパ・セルフケアで疾患を予防して、病気を治しています。「風邪の最初の徴候があると、リンパドレナージを自分に行い疾患を予防しています」と彼はいいます。

「私は自分の指を何度もぶつけてしまいます(道具の扱いが下手なのです)。でも、ぶつけた部位をドレナージすることで痛みとズキズキする感覚を素早く取り除くことができますね」

 

しかし、ダブルステインはリンパ・セルフケアを行う際には、病気や怪我をしている必要はないと強調します。「私がいつも個人的に好きなのは、頚部のシークエンスです。このシークエンスは特にヨガの練習の終わりに行うと素晴らしいです。ヨガのシャヴァーサナ (亡骸のポーズ)でリラックスしているときに頚部シークエンスを行うことができ、副交感神経優位の状態に身体をもっていけます」。この点については、前出のメンダーも「単純に落ち着くのにうってつけですね」と同意見です。

 

セルフケアの手順

リンパ節はリンパ系の発電所のようなもので、500以上あります。これらはリンパ管に沿った重要なポイントに位置しています。大部分のリンパ節は、頚部、腋窩、腹部、鼡径部に位置しています。これらの部位をこの単純なセルフケアで対象にします。身体の主なリンパ節を刺激することはリンパ系全体に影響を与えて、身体中のリンパの流れを増加させます。

 

ここで紹介するリンパドレナージは、従来のマッサージとは非常に異なります。以下に知っておきたい情報を列挙します。

 

●タッチはとても軽く行います。特にディープティシューマッサージに慣れている場合、軽すぎて効果的ではないと思うかもしれません。しかし、リンパ管の70%は、皮膚のちょうど下に位置しています。あまりに強く圧をかけると、圧のポイントがリンパ管を超えてしまいます。タッチが軽いほど、リンパ系への効果は大きくなります。 

●手で皮膚をすべらせないようにします。むしろ皮膚を軽く伸ばします。リンパ管は、小さく弾力的な線維で皮膚に付着しています。皮膚を伸ばすと、手がポンプのようにリンパ管を一斉にくみ出します。

●伸ばす方向は常にリンパ液が通常流れる方向にします。伸ばす最後に手を持ち上げて離すことが重要です。そうしないと、リンパ管を行ったり来たり動かすだけになってしまいます。

リンパのリズムはゆっくりしています。皮膚を伸ばすために、たっぷり3秒かけます。次の3秒間で皮膚にタッチしている手を完全に離します。それを繰り返します。

●このセルフケアのプロトコルはChikly Methodに基づいています。他の流派で教えるテクニックとは、少し違うかもしれません。

 

ステップ1:クラビクル(鎖骨)

手の配置:指先を頚部の基部、鎖骨の上縁に置きます。

ストロークの方向:可能な限りの軽いタッチで、皮膚を頚切痕に向かって内側に伸ばします。これはとてもゆったりとした3秒間のストレッチです。次に3秒間、タッチしている指を完全にリリースします。これを4回繰り返します。

ステップ1 

ステップ2:バック・チェイン(僧帽筋)

手の配置:指腹を肩の後ろの僧帽筋上部に置きます。

ストロークの方向:可能な限りの軽いタッチで、外側の肩に向かって少し前方にカーブしながら皮膚を伸ばします。僧帽筋を外側にストレッチし、それから前方に伸ばして終えるイメージです。ストレッチは全体で3秒間です。3秒間でタッチを完全にリリースし、さらに4回繰り返します。

ステップ2

 

ステップ3:ネック・ハグ

手の配置:この写真は首を絞めているように見えますが、手はとても軽く触れます。むしろチョウの羽に近いです。指腹を胸鎖乳突筋に置きます。手の他の部分は頚部には触れません。正確に言えば、手と喉の前面の間に隙間を空けるようにします。

ストロークの方向:可能な限りの軽いタッチで胸鎖乳突筋の皮膚を鎖骨へ向かって下方にまっすぐ伸ばします。ゆっくりとした3秒間、ストレッチしましょう。次の3秒間でタッチを完全にリリースします。これを4回繰り返します。

 ステップ3

 

 

ステップ4:スパイナル・チェイン

手の配置:指腹を側頚部に置きます。

ストロークの方向:可能な限りの軽いタッチで皮膚を鎖骨に向かって少し前方に、それから下方に伸ばします。3秒間、ストレッチします。次の3秒間でタッチを完全にリリースし、これをさらに4回繰り返します。

 ステップ4

 

ステップ5:ウォーターホイール

手の配置:これは小さいですが、極めて重要なリンパ節の領域です。頭部と顔面はすべて、これらのリンパ節を通じて排出されます。2本の手指の指腹を耳垂の後ろに置きます。柔らかいスポットを感じるでしょう。頭部からのリンパが集まるリンパ節の領域で「ウォーターホイール(水車)」と呼んでいます。

ストロークの方向:皮膚を下方にまっすぐ伸ばします。小さい領域であるため、2.5㎝ほどの短い距離で十分です。3秒間伸ばして、3秒間リリースします。これを4回繰り返します。

 ステップ5

 

頚部のリンパを洗い流す

以上で、頚部のリンパ節を開きました。鎖骨まで流れるようにすることが重要です。これを行うために、逆順でもこのステップを繰り返します(4、3、2、1)。それから下記のステップ6へと続けます。

 

ステップ6:アクシラ(腋窩)

手の配置:左腕を少し上げ、右手の指先を左の腋窩の頂点に置きます。ここは極めて重要な領域です。腕、胸部、胴の一部のリンパはここから排出されます。

ストロークの方向:身体の中心に向かって、優しく内側へ押します。リンパを心臓に流れるように促します。3秒間優しく押して、3秒間リリースします。これを4回繰り返します。このプロセスを逆の腕でも行います。

 ステップ6

 

腹部のリラックス

次のステップは、腹部の深部にあるリンパ管を治療します。腹筋の下に位置するリンパ管なので、先に腹筋をリラックスさせることが有効です。深い腹式呼吸や数分のマッサージでリラックスできます。好きなほうを選んで行ってください。腹部をリラックスしたら、ステップ7へと続けます。

 

ステップ7:システルナ・カイライ(乳び槽)

手の配置:胸郭と臍の間、腹部の中心に指腹を置きます。手の他の部分は皮膚から離し、指先だけが腹部に触れるようにします。

ストロークの方向:内側と上方へ優しく押します。ここでの圧迫は少し深くなります。しかし、リズムは同じです。3秒間のストレッチ、3秒間のリリース。4回繰り返します。

 ステップ7

 

 

ステップ8:アブドミナル「V」

手の配置:下部の腹部両側に手を平らに置く。両手で「V」の字をつくります。

ストロークの方向:優しく内側に、それから胸のほうに向かって斜め上方に押します(上内側の動きです)。3秒間のディープストレッチ。3秒間のリリース。これを4回繰り返します。

ステップ8

ステップ9:イングイナル(鼡径部)

手の配置:膝を曲げて、脚と骨盤の間で曲がるのを感じます。指先をこの折り目に置きます。

ストロークの方向:ここでも同じく、これらのリンパ節は皮膚の真下にあるため、圧迫は非常に優しくします。上方へ皮膚を伸ばします。伸ばす長さは短く、約2.5cmです。3秒間のストレッチ、3秒間のリリース。4回繰り返しましょう。逆脚でも同じように行います。

ステップ9

心臓にまで洗い流す

これで腹部のすべてのリンパ節を開きました。心臓まで流れるように促すことが重要です。ステップ8、7を繰り返してからステップ1で終えましょう。

禁忌

マッサージにあてはまる同じ禁忌はリンパドレナージにもあてはまります。リンパ専門のカリキュラムでは、禁忌の詳細を教えています。

参考文献

  1. Bruno Chikly, MD, DO. Silent Waves: Theory and Practice of Lymph Drainage Therapy, 2nd ed. (Scottsdale: I.H.H. Publishing, 2004).

プロフィール

Eileen Laird(LMBT、LTC)

マッサージ師として、リンパドレナージを専門とする治療院を経営。Chikly Instituteのカリキュラムでホリスティック分野のリンパテクニックの資格認定を受けている。著書に『101 Things Every New Massage Therapist Should Know』などがある。

http://www.eileenlaird.massagetherapy.com/