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DRAPING DILEMMAS ドレーピングのジレンマ

アート・リグス

2015.09.28

海外雑誌「Massage & Bodywork」記事

DRAPING DILEMMAS ドレーピングのジレンマ

 Physiotherapist doing leg massage to his patient in medical office Dear アート様 Q  私もクライアントも、可動域を広げ、負担の少ない側臥位や複雑な姿勢で行うマッサージが好きです。しかし、効果的なドレーピング(訳注:施術中の患者の露出部位を覆い隠すための、シーツやタオルによるテクニック)が難しいです。どのようにすればドレーピングが上手く行えますか?                                                  ドレーピングが下手な人より   Dearドレーピングが下手な人様   A これはよくある難問です。現実的に言うと、いくつかの姿勢において、早くて楽なドレーピングというのは不可能です。熟練を要するドレーピングの大切さを軽視するつもりは全くありません。しかし、ドレーピングによってマッサージの技術を十分に発揮できないのであれば、ただドレーピングを上達させようとするのではなく、優先順位を考え、もしかしたらマッサージ自体を変えた方が良いかもしれません。   適切なドレーピングというのは、そもそもクライアントの身体的・感情的な心地良さのために行われます。つまり、体を暖かくするためと体を隠して安心させるためのものです。また、不適切な行為として訴えられる事から守ったり、クライアントの露出などを防いだりするためです。   私の考えとしては、マッサージによる治療というのは目的がはっきりとしていて、ドレーピングは手際良く行われるべきですが、芸術的に創造性を発揮する必要はありません。あくまでもセラピストはマッサージを行うためにあるのであって、クライアントを布で包むためではありません。ドレーピングによる制限に合わせて施術の技術を妥協するのではなく、セラピストが行うマッサージの種類に合わせ、柔軟にドレーピングを改めるということが正しいのです。   苦情について   ドレーピングは重要ですが、過度に注意を払ったドレーピングというのは、代償も伴います。下記に、セラピストとクライアントの両方からよく聞く苦情を挙げます。   ・ドレーピングは時間がかかります。中断が何度も行われ、セッションのスムーズな流れが邪魔されるので、実質上マッサージを施している全ての部分において必然的に貴重な時間のロスが伴います。 ・ドレーピングは体を個々のブロックに切り離します。良いマッサージは、体を一つに統一するためのスムーズな連結を作り出します。もし、各部分がそれぞれ慎重に布で覆われたり、覆われなかったりすれば、統一性のない部分的なマッサージとなってしまいます。対策は、一つの部分が終わったら、その部分は包んで忘れてしまうということです。 ・ドレーピングはクライアントやセラピストの安全を保障するものではありません。ドレーピングの過度の強調は、実は性的な問題に対して必要以上の注意を生み出します。つまり、「象の事は考えるな」というと、象の事を考えてしまう、暗示のようなものです。薄いただの布より、しっかりとしたプロの意思や、適切な境界線がより確かな誠実性を生み出します。 ・ドレーピングの技術の不快感により、特に側臥位の際、役立つマッサージテクニックが制限されてしまいます。クライアントもセラピストも、ドレーピングによって拘束され、セラピストは最高のマッサージを提供する機会を失い、クライアントはマッサージの技術による効果を逃してしまいます。   提案   ドレーピングの技術を上げる方法はいくつかあります。 ・同僚のセラピストと共に、効果的なマッサージを行う姿勢でドレーピングを練習し、実際のセッションでの自信をつけましょう。 ・側臥位やその他の姿勢の際に、クライアントにドレーピングの布を持ってもらいましょう。そして難しい部分を覆うには、クッションやタオルを多めに使用しましょう。 ・とても大きなビーチ用のタオルのような、すべらない素材の布を使用しましょう。すべり落ちることが少なく、クライアントも快適に暖かく施術を受けることが出来ます。このようなタオルの生地なら、デリケートな部分のマッサージをより効果的に行うことができます。タオルの上から組織をつかむ事ができるので、ドレーピング部分もマッサージを行うことが出来ます。滑りやすい素材と格闘することはありません。 ・最後に、ベテランのセラピストはクライアントに下着や最小限のスポーツウェアを着てもらい、ドレーピングと共に、またはドレーピングなしで施術するようにしています。私の知っているほとんどの経験豊富なマッサージセラピストはいつもこの方法で施術しており、たくさんのクライアントが好んでいます。施術は簡単で、円滑に、統合されたものとなります。良い施術を行う時間を確保し、どんなテクニックも簡単に行えるようになるでしょう。    ドレーピングしないのが理想?   マッサージのあらゆる面と同じく、このような施術への移行の鍵となるのは、コミュニケーションと交渉です。私の場合、ドレーピングの提案はしますが、下着を付けたまま施術を行えるなら、よりスムーズな施術ができると常にクライアントに話しています。いくつかの体勢で行った後、ほとんどのクライアントは、ドレーピングは必要ではないと言ってくれます。   効果的なマッサージの体勢を行う事を諦めないで下さい。自分のマッサージの技術を完全にクライアントに提供できていないという認識が、広い心と想像力を持ってこの問題を解決する最初のステップです。   Photo by:wavebreakmedia / PIXTA(ピクスタ)

プロフィール

アート・リグス(Art Riggs)は、7か国語に翻訳された”Deep Tissue Massage: A Visual Guide to Techniques” (『ディープティシュー・マッサージ―深部組織に対するマッサージ理論とテクニック』、医道の日本社) の著者である。 “Deep Tissue Massage and Myofascial Release: A Video Guide to Techniques”という7巻からなるDVDシリーズも出している。 ★彼のウェブサイトはこちらwww.deeptissuemassagemanual.com ★医道の日本社刊 ディープティシュー・マッサージ深部組織に対するマッサージ理論とテクニック http://www.ido-netshopping.com/products/detail1253.html

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