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eMagazine 「アートに聞け:新しいテクニックを統合するには?」

アート・リッグズ

2015.08.05


picsta Dear アート 様 Q   私は数週間前にエリック・ダルトン先生の素晴らしいワークショップを受講し、新しいテクニックをたくさん学びました。ただ、私が働くスパで新しいテクニックを使ったら、クライアントに変わったテクニックと思われて好まれないのではないかと不安で、新しいテクニックを行うことをためらっています。そのせいで、ワークショップで学んだ多くの事をもう忘れてしまいました。 この不安を捨てるにはどうしたら良いでしょうか。       動けず途方に暮れている人間より   Dear 動けず途方に暮れている人間 様 A  そのような考えを持った方は他にもいらっしゃいます。『トム・ソーヤーの冒険』の著者マーク・トウェインの言葉で「自分の人生で幾千も思い悩んだが、そのほとんどが取り越し苦労であった」とあります。驚くことに、新しいテクニックに挑戦しようとすると、クライアントは従来のテクニックを重んじるセラピストの方に流れてしまうという不安をよく耳にします。私もロルファーとして、頭蓋仙骨法やさらに複雑なことを学んでいたときに同じ経験をしました。肘や拳を使うことを期待するクライアントをがっかりさせないか、クライアントが他者に移ってしまわないかとばかり考えていました。しかしそれは全くの誤解でした。私のクライアントは新しいテクニックを気に入ってくれました。新しいテクニックはこれまで行ってきたスキルに加わるものとして受け入れてもらえます。   肉じゃがを好む方が流行中のフランス料理を口にしても有難みを感じないように、新しいテクニックを拒む人もいるでしょう。しかし、増えつつある目の肥えた人たちに新しいテクニックを示す利点はマイナス面を上回ると思います。それを喜んでくれるクライアントが通ってくれること、口コミを広げてくれるようになれば十分でしょう。クライアントの好みを推測して合わせようとするより、あなたのスキルを気に入り、望んで常連になったクライアントを惹きつけておくことの方がずっと簡単です。   多くのセラピストは、クライアントが何を望んでいるのかを試行錯誤して予測しますが、それが正しくないことがあります。強い圧のアプローチはクライアントにおかしいと思われるのではないかと考えるセラピストもいます。また、クライアントは気持ちよくマッサージを受けている最中に横向きにするなどの邪魔を好まない、または特定部位のみではなく、全身を均等にやらないと気分を害するといった誤解があります。実際に、たいていのクライアントは、型にはまった一つのやり方を実践されるよりも個々のニーズに応えるよう配慮していることに感謝するのです。   独創性に富んだ治療スタイルにしていくポイントは、クライアントと密なコミュニケ―ションを取ること、クライアントに伝えて学ばせることです。私のディープティシューの講義を受けた生徒は、講義から数週間経った後、連絡が来て「数か月間、スパに来るお客さんの足取りはどんどん減っていきましたが、現在、毎日予約を受けて忙しいです」と言っていました。彼の学んだテクニックは確実に役に立つものですが、マッサージ前とマッサージ中にクライアントとよく話をして身体の何を改善したいのか探ることが成功した理由です。他にも行うマッサージがどのような効果があるかを説明し、問題のある部位にはじっくり深く働きかけ、全身を診て、さらに時間をかけて細かく隅々まで診ていけるようスケジュールを組みます。   型にはまらず自分のやり方で誠実なコミュニケ―ションをし、セラピストとして自分も楽しめるように取り組むことが重要です。 下記がその方法です。   徐々に自分のやり方にシフトしていきましょう   常連には、マッサージを向上させるために新しいテクニック行いたい旨を伝えましょう。新規クライアントの場合は、気兼ねなくできそうな方を選んで自信とコミュニケーション能力を磨きます。   クライアントを知るための時間をつくりましょう   クライアントにマッサージを始めるまでは施術料金に入らないことを説明し、どのようなマッサージを施すか、何を探ろうとしているのかを伝えます。入店早々にマッサージをするよりセラピストとクライアント両方にとってお互いのつながりを築けることに価値があります。   自分と同じレベルのセラピストとテクニックを見せ合ったり確認し合ったりしましょう   クライアントが新しいテクニックを望まないのではないかという消極的な考えは、彼らの好みを勝手に想定して、それにただ合わせようとしているだけなのです。問題の原因は、単純に経験不足による自信の欠落と言えます。   夜漬けは難しいので、少しずつ経験を積んでいきましょう   一つのテクニックとその訓練法を検討し、一番効果があると思うクライアントと一緒に極めていきます。クライアントが心地よいと感じるのであれば、他の常連客にも試していきましょう。   最後に覚えておいていただきたいのですが、施術を受けにくる方すべてが完璧なマッサージだったと思って帰っていくわけではありません。それで構わないのです。しかし、クライアントと良いコミュニケーションをとり、熱心に取り組むことで、クライアントはあなたの専門テクニックを価値あるものと考え、施術は上手くいくでしょう。頑張ってください。 Photo by:HighwayStarz / PIXTA(ピクスタ)

プロフィール

アート・リッグズ(Art Riggs)は、7か国語に翻訳された”Deep Tissue Massage: A Visual Guide to Techniques” (『ディープティシュー・マッサージ―深部組織に対するマッサージ理論とテクニック』、医道の日本社) の著者である。 “Deep Tissue Massage and Myofascial Release: A Video Guide to Techniques”という7巻からなるDVDシリーズも出している。 ★彼のウェブサイトはこちらwww.deeptissuemassagemanual.com ★医道の日本社刊 ディープティシュー・マッサージ深部組織に対するマッサージ理論とテクニック http://www.ido-netshopping.com/products/detail1253.html