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アメリカのマッサージ事情ショートインタビュー  「ヒエラルキー化が進むマッサージ業界」
2015.01.08

アメリカのマッサージ事情ショートインタビュー

1990年代からマッサージセラピストとして活躍。直接指導する傍ら、マッサージや解剖学のDVDやアプリもリリースしているReal Bodywork代表のSean Riehl氏が来日していると聞いて、アメリカのマッサージ事情についてインタビューを試みました。

[caption id="attachment_3185" align="alignleft" width="300"]Sean氏と、ともに来日したCraig M. Rawlings氏(University of California) Sean氏と、ともに来日したCraig M. Rawlings氏(University of California)[/caption] ―― アメリカのマッサージ業界の最近の事情を教えてください。 Sean アメリカのマッサージ師はとてもよくトレーニングされた施術者と、あまりトレーニングされていない施術者の両方が混在している。僕が住むサンタバーバラでは1時間で120ドルも稼ぐ施術者がいる一方で、他の州や安いサロンでは20ドルくらいしか稼げない施術者もいる。とてもバリエーションのある業界になってしまっている。 僕が15年前にマッサージの施術者として仕事をしていた頃は、1時間50ドルくらいが通常だった。その頃に比べると今の稼ぐ人は2倍以上だ。これはとても驚きで、日本も似た状況になっているのではないか。 ―― 20ドルのマッサージとはどんなものですか。 Sean 正直言うと、20ドルのマッサージでも、ときどきすごく良かったりする(笑)。 違いは何だろう。仮にたくさん稼げるマッサージ師を、ハイエンドマッサージセラピストと呼ぶとしたら、彼らはよく勉強をしていて、フィジカルセラピーに携わる人もいる。つまり、単純なマッサージにとどまらず、運動療法や障害の評価など様々なことを行っている。理学療法士に近くなってきていると言えるね。 一方、ローエンドの、あまりトレーニングしていないチープマッサージに携わっている人は治療的というよりも、リラクゼーションを提供している。リラクゼーションは過当競争になっているから稼げない。 やはり故障を抱えた患者さんは、経験が豊富で技術力のあるセラピストを選ぶ傾向にある。そういう患者さんに選ばれるには、きちんと病気を鑑別できる評価法が求められる。その上で、自分が持っている様々な手技やボディーワークの中から、どんなテクニックを選んで施術するか。トータル的なボディワーカーとしての能力が試される時代になっている。 [caption id="attachment_3184" align="alignleft" width="300"]インタビューに応えるSean氏 インタビューに応えるSean氏[/caption] ―― 良いマッサージをどのように見分けるのでしょうか。 Sean 友達に聞くんだ。あとはインターネットとか、評判の良いサロンを探したりしている。日本も一緒だと思う。   ―― マッサージライセンスについてはどうでしょうか。 Sean ライセンスの要件も変わってきている。カリフォルニア州では、昔はライセンスを取るのに約250時間でよかったが、今は500時間必要で、将来的には1000時間のトレーニングが必要になると予想されている。より高度な専門職になってきている。特にカリフォルニアはマッサージセラピストがたくさんいて、競争が激しく、スタンダードのレベルがとても高い。もちろんアメリカは州によって制度が異なるから、他の州ではそうでもないところもある。フロリダ州はすでに1000時間くらい免許を取るのに必要だと言われている。   ―― 日本人がマッサージセラピストのライセンスをアメリカで取得するのは可能なのでしょうか。 Sean 言葉ができれば、学校に通ったりするだけだから問題ないだろう。それよりもビザの問題をクリアにしなければならない。ビザがすべてだと思う。ただ、いろいろな国からいろいろな人がやってきて働いているのがアメリカだ。不可能ではないと思うよ。   DSC_5723 ―― どんなマッサージが流行っていますか。 Sean 流行っているのは、ポピュラーなものだ。マイオファッシャル、リンパドレナージ、ディープ・ティシュー、スウェーデンマッサージ。比較的新しいものとしては、オーソペディックマッサージ、マッスルテスティング、姿勢評価などだ。先ほども話した通り、今マッサージセラピストはアセスメントを重視するようになっている。病気を判断するために、評価、検査法が組み込まれたものが人気だ。 ―― アメリカではマッサージの仕事がきつくて、やめる人はいますか。 Sean アメリカでは肘などを使ったり、疲れない姿勢を取ったり、スピードをゆっくりしたりして、故障を抱えないようなマッサージ方法を勉強している人が多い。学校の授業で、そういうことを教えてくれるところもある。とはいえ、マッサージはタフな仕事で、何人もするとやはり疲れるし、故障しがちだ(笑)。 IMG_0964  ―― 今後、アメリカのマッサージ業界はどうなっていくのでしょうか。Massage Envyのようなチェーン店も増えていますが… Sean 彼らは中間的な価格帯で、マッサージを提供することができる。今後も成長していくと思う。 中国系マッサージ師の流入など市場はオープンな状況になってきていて、数が増加している。一方で、あの先生はすごいとか、尊敬を集める施術者もいる。今までマッサージに興味のなかった人もマッサージを受けるようになってきており、市場が広がり、施術者が増えた結果、全体的には質は上がっていると思う。   ただし業界が大きくなるにつれて、ピラミッド型のヒエラルキーができあがってきている。下の層はどこでも受けられて、安く、早い。リラクゼーションや中国系のもの。トップの層はより医療的で検査、アライメントなどを判断している。 この状況はカリフォルニアのコーヒー業界に似ているね。ファストコーヒーがある一方で、カプチーノとかスペシャリティなコーヒーが受けている。今や巨大市場の1つだと言えるだろう。 【関連DVDはこちら】

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【DVD】見る見るわかる解剖学 出演:Sean Riehl 監訳:大谷 素明 時間:約73分
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【DVD】筋筋膜リリース・セラピー 翻訳・監修: Sean Riehl 監修:吉永 孝徳 時間:約147分
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【DVD】深部組織と筋筋膜に対する徒手テクニック 出演:Sean Riehl 日本語監修:泉 秀幸 時間:約133分

プロフィール

マッサージセラピスト、Real Bodywork代表 Sean Riehl(ショーン・リオ)