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Massage Today 第9回  チームプレーヤーとしての筋肉

Erik Dalton, PhDPhD

2016.05.30

チームプレーヤーとしての筋肉

By Erik Dalton, PhDPhD

訳:編集部

Reprinted with permission from Vol.13, Issue 06(June, 2013)of Massage Today.Massage TodayVol.13, Issue 06(June, 2013)より許諾を受けて、Erik Dalton氏の記事を転載しています。Massage Today公式サイトもご参照ください。 www.massagetoday.com


 「主動筋」が機能しない場合、それをサポートする「協力筋」が代わりの役割を果たす。これは重要なプレーヤーが負傷したときに、フットボールの監督が補欠選手を呼ぶのに似ている。

 身体の安定をもたらす協力筋は、個々の運動では主要な筋ではないものの、主動筋を補助するために設計されている。つまり、協力筋は「別の筋を強化するために、一緒に作用する」と定義できる。それぞれの筋が特定の関節で同じ作業を行う場合、それらの筋が「協力筋」と呼ばれる。

 主動筋が硬くなり、作用すべきではないときに作用してしまうと、変容した相反抑制が生じる。主動筋への過剰な圧は、対立筋(拮抗筋)への信号強度を低下させることになる。変容した相反抑制における主動筋は、能動的に収縮していない場合でも作用している。例えば、頭部の前方位姿勢では、患者の後頭下はたいてい、目の高さを水平に保つように重力と戦うことで、過収縮された状態で維持される。頭部が上向きになって、頚部の前方に動くと、拮抗筋である頭長筋が過剰に伸ばされ、弱くなる。頭長筋は上部頚椎前面を後頭骨底に結合する(図1

eric dalton 図1

図1

 脳は、頭長筋が主要な頭頚部屈筋としての職務を果たせないことを感知すると、代打として強力な胸鎖乳突筋(sternocleidomastoid: SCM)を呼び出す。胸鎖乳突筋は、適切に発火させれば、頚部屈筋としての役割をきちんと果たしてくれる。しかし、胸鎖乳突筋は乳様突起に停止するために、頭長筋の劣った補欠選手となる。後頭下の緊張亢進により、相互に弱められると、強力な胸鎖乳突筋が頭長筋に取って代わり、頭部を頚部に対しまっすぐにするために最初に発火する。しかし、胸鎖乳突筋は頭部をまっすぐな状態に保つ代わりに、頚部で頭部を「伸展」させ、頭部の前方位姿勢を引き起こす。神経・血管組織は環椎後頭関節後面の下に埋まっており、この過剰な圧力は望ましくない。

 頚部の正常な発火順の連鎖が阻害されると、協力筋は頭部を別の方向に引き始め、椎間関節と椎間板を介してねじれと圧縮する力を送る。これは多くの場合、骨関節炎(骨棘形成)、変性椎間板疾患、靱帯弛緩のような慢性退行性病態を生じさせる。患者は、片頭痛、腕や胸郭の神経根痛、さらには、ひどい肩の症状を訴えてやってくるかもしれない。

 ある時点で、脳は機械受容器と化学受容器からの有害な入力の氾濫にうんざりするようになり、防御的筋緊張でその部位を閉鎖することに決める。もちろん、これはさらに、発火順パターンを変え、痛み・痙攣・痛みのサイクルを生じさせる場合がある。このサイクルは壊すのがたいてい難しい。慢性的な代償行為は、脳に安定性を確保する複雑な運動を損なわせる。そのため、患者の歩行で、いずれ固まると思われる筋肉の部位を明らかにできる場合がある。幸いにも、簡単な検査を行うことで、協力筋支配が特定の関節に存在するかどうかがわかる。

頚部屈曲テスト

 背臥位になった患者の頭頚部の前屈は、頭長筋、頚長筋、胸鎖乳突筋、前斜角筋の発火順で連鎖を起こす。最も深部にある内在筋では、頭長筋から最初に発火(頚部で頭部を屈曲する)し、すぐに頚部屈曲を開始させる頚長筋が続く。斜角筋前面と胸鎖乳突筋は力を合わせ、滑らかな頭頚部屈曲を生じさせる。

 最もよく見られる置換パターン(胸鎖乳突筋、前斜角筋、頚長筋、頭長筋)は、最初の5センチの屈曲の間、あごを胸に押し込むのではなく、天井に向けさせる(図2

医道_図2

図2

 

  頚部屈曲テストを行うことによって、筋膜組織を伸長して強化する必要があるかどうかを治療家は判断する。また、各頚部セッションの前後に頭部拳上テストを行うことで、異常な置換パターンを容易に確認して、修正できる。張力と長さの不均衡は、通常、適切な評価を行えば修正するのは容易である。

 胸鎖乳突筋リリーステクニックは、私のお気に入りの1つで、胸鎖乳突筋と付随する筋膜の癒着と拘縮を治療する。私が頚部屈曲テストと胸鎖乳突筋リリースを行っているので、http://youtu.be/UmS2pPZIFnwをご覧いただきたい。

プロフィール

Erik Dalton(Ph.D)

認定上級ロルファー。Freedom From Pain Institute®を設立し、Myoskeletal Alignment Techniques ®を考案。マッサージ、ロルフィング®、マニピュレーティブ・オステオパシーで特にその名が知られている。ワークショップ、本、映像に関する情報については、http://erikdalton.com/(注:英語のみのサイト)まで。